ひえひえ~温度が伝わる樹脂でクマがシロクマに変身

冷たい金属は温度が低い?

寒い冬の日、机の上に置かれたハサミの金属製の刃と樹脂製の持ち手、冷たく感じるのはどちらでしょうか? ほとんどの人が「金属」と答えると思いますが、実はどちらも同じ温度なんです。

これは、素材によって「熱を伝える速さ(熱伝導性)」が全く違うために起こる現象です。 私たちの手の熱が、金属へ素早く移動していくことで、私たちは「冷たい!」と感じているのです。

ひえひえ~温度が伝わる樹脂でクマがシロクマに変身

樹脂は一般的に熱を伝えにくい素材ですが、樹脂の中に熱を伝えやすい特殊な粒子を混ぜ込むことで、この性質を大きく改善することができます。これが熱伝導性樹脂です。

この実験では、高い熱伝導性を持つ樹脂と、普通の樹脂を使って、クマの形を作ってみました。高熱伝導性樹脂でできたクマは、手で持つとひんやりとしています。

このクマたちをとっても冷たいドライアイスの上に置くと……

高熱伝導性樹脂製のクマは、ドライアイスの冷たさが素早く全身に伝わり、空気中の水分が白い霜となってクマの全身を覆います。まるで黒クマが一瞬でシロクマに変わったようです!一方、普通の樹脂製のクマはなかなか冷たさが伝わらないので、まだ黒いクマのままです。

熱を逃がして電子機器を守る

この樹脂の「熱を素早く伝える力」は、私たちの身の回りにあるありとあらゆる電子機器の安定動作に欠かせません。私たちが使うスマホ、パソコン、ゲーム機、照明(LED)など、電気を使って動く電子部品は、動作時に必ず熱を発生させます。その熱がこもって高温になってしまうと、部品の動作が不安定になったり、寿命が短くなってしまったりします。

熱伝導性樹脂は、電子部品から発生した熱を素早く外へ逃がす役割を果たし、電子部品の温度を低い状態に保ちます。

この樹脂があるおかげで、機器が過熱による故障から守られ、高い性能を長く安定して発揮できているのです。