多用な樹脂材料の性質
サンユレックが取り扱っているのは、様々な化学反応を利用して固まる樹脂です。
「固まる」といっても、カチカチに硬いものから、プニプニの柔らかいもの、そしてまるでゴムのようによく伸びるものまで、その性質は千差万別です。樹脂材料は、使われる用途に合わせて細かくカスタマイズされています。
びよ~んと伸びる樹脂で犬を胴長にしてみた実験
今回の主役は、「よく伸びる樹脂」です。 この樹脂を使って犬の形を作り、グーッと引っ張ってその胴体を伸ばしてみました。 力を込めて引っ張っても、樹脂がちぎれてしまうことはありません。それどころか、力を抜くと、ゆっくりと元の形に戻っていくのが分かります。
なぜ伸びて、元に戻るの?分子の秘密
これは、分子レベルで見ると、この樹脂が特別な構造を持っているからです。
多くの硬い樹脂は分子同士がたくさんの箇所でガッチリと化学結合しています。それに対して、この伸びる樹脂は、分子同士が化学結合する箇所が少なく、絡み合ったような状態になっています。力を加えると、この絡み合った部分がまっすぐに引き伸ばされ、力を抜くと、もとの分子が絡まった状態に戻ろうとするような力が働くのです。
生活と安全を支える伸びる樹脂
この「伸びて、戻る」という性質を持つ樹脂は、私たちの安全で快適な暮らしを陰で支えています。
①暮らしを守る、橋のつなぎ目
皆さんが渡る橋のつなぎ目部分は、夏と冬の気温変化で橋の本体がわずかに伸び縮みするのを吸収する必要があります。この隙間に伸びる樹脂が使われることで、橋の本体の変形をやわらかく吸収し、破損を防ぎ、橋を丈夫で長持ちさせています。
②安全を支える、車の電子部品
最新の車に搭載されている安全運転支援システムなどの精密な電子部品も、この樹脂に守られています。車載部品は、エンジンの熱や走行中の激しい振動、寒い冬と暑い夏の気温変化に常にさらされます。 伸びる性質を持つ樹脂は、これらの電子部品を覆い、熱や振動による変形を吸収する役割を果たし、部品の故障を防いでいるのです。
伸びる樹脂は、大きな橋からハイテクな車の中まで、目立たないけれど非常に重要な役割を担っています。これこそが、目的に合わせて樹脂の性質をカスタマイズする化学技術の面白さなのです。